コピーライターが仕事を取るための実績の見せ方と単価設計
「実績がないから仕事が来ない。仕事がないから、実績ができない」。駆け出しのコピーライターが、まずぶつかる壁です。けれども…
text: HYPE編集部
コピーライターの記事一覧へ「実績がないから仕事が来ない。仕事がないから、実績ができない」。駆け出しのコピーライターが、まずぶつかる壁です。けれども、発注する側の経営者や担当者が見ているのは、実績の「量」だけではありません。何を考え、どう書き、相手の事業にどう役立つ人なのか。その伝わり方が、受注を分けます。この記事では、コピーライターが仕事を取るための実績の見せ方と、単価設計の基本を整理します。実績の見せ方と単価は、どちらも自分の売上を決める設計です。
実績は「作品集」だけでは伝わらない
コピーライターの実績というと、書いた文章を並べたポートフォリオを思い浮かべます。もちろん作品は大切です。ただ、発注側が知りたいのは、文章の上手さだけではありません。「この人に頼むと、自社の何がどう良くなるのか」です。
たとえば、商品ページの文章を書いた実績があるとします。作品として見せるなら、その文章を載せれば終わりです。しかし発注側の心に残るのは、「何に困っている状態から書き始めたか」「誰に向けた文章か」「なぜその表現を選んだか」まで含めた話です。実績とは、文章そのものだけでなく、仕事の進め方と判断の記録でもあります。
実績が少ない時期は、この「過程」の見せ方が効きます。量で勝負できないなら、考え方の丁寧さで伝える。それが、駆け出しでも受注につながる実績の作り方です。

見せ方1 事実で語る
実績を書くときは、まず事実をそろえます。守秘義務に触れない範囲で、次のような情報です。
- 担当した媒体や成果物の種類(商品ページ、チラシ、サイトの文章など)
- 自分の担当範囲(企画から書いたのか、文章だけか、修正まで担当したか)
- 制作の期間や、関わった人数
- 公開できる範囲での結果や反応
ここで大切なのは、盛らないことです。数字を書ける場合は、その数字の出どころと条件を添えます。書けない数字は、書きません。「売上が上がりました」といった、あいまいな表現より、「商品ページの文章を担当し、公開後は問い合わせの導線も整えた」という事実の積み重ねのほうが、発注側には伝わります。事実は地味ですが、確認できる情報こそが信頼になります。
実績がまだない場合は、練習として書いた文章も、実績の材料になります。その場合は「自主制作」と明記し、誰に向けて、何を目的に書いたかを添えます。ごまかさずに区別して見せる姿勢自体が、仕事の丁寧さの証明になります。
実績の効果を言葉で大きく見せるほど、その表示が何に基づくのかも重要になります。消費者庁は景品表示法のページで、消費者を誤認させる不当な表示に関する制度を案内しています。
見せ方2 過程を見せる
次に効くのが、過程の公開です。1つの仕事について、次の3点を短くまとめます。
- 課題:相手は何に困っていたか、自分はどう受け取ったか
- 工夫:なぜその言葉、構成、順番にしたのか
- 結果と振り返り:公開後に分かったこと、次に直したい点
この形でまとめると、文章の良し悪しだけでなく、考え方の筋道が見えます。経営者や担当者は、次に頼む仕事を想像しながら読みます。「この人は、うちの商品でも同じように考えてくれそうだ」と思ってもらえたら、実績の見せ方は成功です。 ライターのキャリアを体系的に学びたい場合は、あなたのライターキャリア講座も参考になります。
過程を見せる場所は、実績ページでも、SNSの投稿でも構いません。大切なのは、続けて出すことです。1件ごとに小さく出していくと、実績は「点」ではなく「線」になり、仕事の相談が来る確率が上がります。
見せ方3 置き場所を整える
実績は、見てもらえる場所に置いて、初めて意味を持ちます。最低限、次を整えましょう。
- プロフィールの1文:「誰の、何のための文章を書く人か」を、相手の言葉で書く
- 実績の一覧:媒体・担当範囲・過程が分かる形で、1か所にまとめる
- 連絡の導線:相談先を明記し、返信の目安も書いておく
肩書きだけの「コピーライターです」では、頼む場面が浮かびません。「小さな店の商品ページとチラシの文章を、店主への取材から書く人」のように、場面が浮かぶ書き方に変えるだけで、紹介もされやすくなります。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。


公開場所を移すときは、本文だけでなく、制作物に含まれる写真や文章の扱いも一緒に確認します。文化庁の著作権制度の案内は、著作物を利用する場面の基礎を確かめる入口になります。
単価設計は「単位」と「範囲」から
実績が見せられるようになったら、次は単価の設計です。コピーライティングの料金は、決まった正解があるわけではありません。だからこそ、自分なりの組み立てを持っておく必要があります。基本は、次の2つを決めることです。
- 単位:何を基準に数えるか。文字数、成果物の本数、作業時間、企画の有無など
- 範囲:その金額に、どこまでが含まれるか。取材、構成案、修正の回数、打ち合わせなど
単価で揉める原因の多くは、金額そのものより、範囲の認識のずれです。「文章だけのつもりが、取材と構成と修正3回まで含まれていた」という事態は、範囲を先に決めていないときに起こります。見積もりの段階で、単位と範囲を文章にして渡す。それだけで、後のトラブルと、実質的な単価の低下を防げます。
単価の水準は、自分の必要額と稼働時間から逆算するのが基本です。生活費や経費をまなうために月に必要な金額を出し、書くことに使える時間で割る。そこに、実績の蓄積に応じて上乗せしていきます。最初から高くする必要はありません。ただし、根拠のない安さは、仕事が増えるほど自分を苦しめます。単価は、続けられる事業かどうかを決める数字です。
単価表を消費者向けに公開する場合は、税込価格として受け取れる見せ方かも点検します。国税庁の消費税の総額表示に関する通達は、税込価格を表示する総額表示の考え方を示しています。
値上げの伝え方
実績が増えたら、単価は見直します。値上げは、既存の相手との関係を壊す行為ではありません。伝え方の型を持っておきましょう。
- タイミングは、次の案件や区切りのときにする
- 理由は、実績の増加と、提供できる範囲の広がりで説明する
- 金額だけでなく、含まれる範囲もあわせて提示する
「次回から、この範囲でこの金額でお願いしたい」と、静かに、具体的に伝える。それで離れる相手がいたとしても、実績に見合った相手と仕事をする流れに変わっていきます。値上げの材料は、日々の実績の記録です。終わった仕事ごとに、課題と工夫と結果を短く残しておく習慣が、そのまま値上げの根拠になります。

まとめ
コピーライターの実績は、作品の量だけでは決まりません。事実で語り、過程を見せ、置き場所を整える。この3つで、実績は「伝わる形」になります。そして単価は、単位と範囲を先に決め、必要額から逆算して設計する。実績の見せ方が受注を決め、単価の設計が事業の続けやすさを決めます。書く技術を磨くことと並行して、この2つの設計にも時間をかけてください。
出典
・景品表示法
・著作権制度の案内
・消費税の総額表示に関する通達
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