ENGINEER エンジニア 2026.11.05

フリーランスエンジニアの単価の決め方|仕事の取り方と値付けの基本

「時給に直したら、会社員時代より安くなっていた」。フリーランスエンジニアから、筆者は何度もこの言葉を聞きました。技術力は…

text: HYPE編集部

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「時給に直したら、会社員時代より安くなっていた」。フリーランスエンジニアから、筆者は何度もこの言葉を聞きました。技術力はあるのに、単価の決め方で損をしている。原因はシンプルで、単価を「言い値」や「なんとなくの相場感」で決めてしまっていることです。単価は、自分の売上そのものです。決め方ひとつで、同じ仕事量でも年間の収入が大きく変わります。この記事では、フリーランスエンジニアの単価の決め方と、仕事の取り方の基本を整理します。

単価は「根拠」で決める

単価交渉で弱くなるのは、根拠を持たずに金額を口にするときです。相手に「もう少し安く」と言われたとき、根拠がなければ下げるしかありません。逆に、「自分の稼働条件と提供できる内容から計算すると、この金額になります」と説明できる人は、簡単には値切られません。

単価の根拠は、大きく分けて2つあります。1つは、自分の側の事情です。生活費や事業の経費、税金や社会保険料をまかない、無理なく続けられる金額はいくらか。もう1つは、相手にとっての価値です。その仕事を自社で採用してまかなう場合と比べて、どれだけ早く、確実に進められるか。この2つをそろえておくと、単価は「高い・安い」の感覚ではなく、説明できる数字になります。

フリーランスエンジニアの単価の決め方|仕事の取り方と値付けの基本
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単価は、根拠で決めるものです。必要な収入からの逆算と、価値の側からの見方の両方が要ります。

単価の根拠は、作業量だけでなく、発注条件や納期、修正範囲と結び付けて説明できる状態にします。厚生労働省はフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを公開し、フリーランスの取引環境に関する情報をまとめています。

まず、必要な収入から逆算する

単価を決める第一歩は、市場を見ることではなく、自分の必要額を知ることです。手順は次のとおりです。

  1. 1か月に必要な金額を出す(生活費、家賃、税金・社会保険料の積立、事業の経費、貯蓄)
  2. 実際に稼働できる日数を出す(営業、事務、学習、休暇を引いた、請求できる日数)
  3. 必要額を稼働日数で割り、1日あたりの最低ラインを出す

たとえば、月の必要額が40万円で、請求できる稼働が月に16日なら、1日あたりの最低ラインは2万5千円です。これは仮の計算例ですが、考え方は誰にでも当てはまります。この最低ラインを下回る単価で受け続けると、忙しいのに手元に残らない状態になります。逆に、ラインが分かっていれば、「この条件では受けられない」と、感情ではなく数字で判断できます。

大切なのは、稼働日数を甘く見積もらないことです。フリーランスの時間は、開発だけに使われるわけではありません。見積もり、打ち合わせ、請求書の発行、確定申告、新しい技術の学習。こうした時間も含めて、請求できる日数を現実的に置くことが、単価の精度を上げます。

必要収入を置くときは、一つの案件の金額だけでなく、事業全体の収支へ広げて見ます。日本政策金融公庫は創業計画書のページで、計画書の様式や作成に関する情報を案内しています。

価値の側からも見る

必要額からの逆算だけでは、単価は「自分の都合」止まりになります。もう一方の視点、相手にとっての価値を重ねると、単価に説得力が生まれます。

企業がエンジニアを正社員で雇う場合、給与のほかに、社会保険料の負担、採用にかかる費用、教育の時間がかかります。フリーランスへの依頼は、その一部を置き換える選択です。「すぐに着手できる」「その領域の経験があるため、立ち上がりが早い」「繁忙期だけ増やせる」。こうした価値が相手にあるなら、単価は単なる人件費の比較では決まりません。

自分の価値は、言葉で説明できる形にしておきましょう。使える技術の一覧ではなく、「何を、どれくらいの期間で、どう進めたか」という実績の形です。実績の整理は、単価を上げるときの材料にもなります。 Webスキルを体系的に学びたい場合は、デイトラも参考になります。

単価は「1つの数字」で持たない

単価は、1つの数字で固定せず、範囲で持つのが実務的です。

  • 最低ライン:必要額から逆算した、これを下回らない金額
  • 標準の単価:通常の案件で提示する金額
  • 上乗せの条件:短納期、専門性の高い領域、責任の重い役割など、条件に応じて加える分

この形にしておくと、交渉は「値下げするかどうか」ではなく、「条件に応じて、どの単価になるか」の話になります。値下げを求められたら、金額を下げる代わりに、範囲を狭める、納期を緩やかにする、といった条件の交換ができます。単価を守るとは、金額を意地でも変えないことではなく、条件とセットで扱うことです。

仕事の取り方、3つの入口

単価と同じくらい大切なのが、仕事の入口を複数持つことです。入口が1つだけだと、その相手の条件を飲むしかなくなり、単価も下がりやすくなります。

  1. 知り合い・紹介:過去の同僚や取引先からの紹介。信頼が先にあるため、条件の交渉がしやすい
  2. エージェント・案件媒体:条件が明示されているため比較しやすい。ただし手数料や条件の確認は必須
  3. 自分からの提案:困りごとが見える相手に、できることを提案する。単価の主導権を持ちやすい

入口ごとに、単価の決まり方は少しずつ違います。紹介は信頼ベース、媒体は条件ベース、直接の提案は価値ベースです。複数の入口を持つと、1つの仕事が終わっても次につながり、焦って安い案件を受ける場面が減ります。仕事の取り方は、そのまま単価を守る力になります。

なお、HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

フリーランスエンジニアの単価の決め方|仕事の取り方と値付けの基本

新しい入口を探すときは、感覚だけで業種を選ばず、公的統計で事業者を取り巻く数字にも触れておきます。e-Statは政府統計の総合窓口で、各府省等の統計を検索できる入口です。

値上げは、実績が増えたタイミングで

単価は、最初に決めたら終わりではありません。実績が増え、できることが広がったら、見直すのが自然です。値上げのタイミングとして分かりやすいのは、次のような場面です。

  • 新しい技術や領域の実績ができた
  • 同じ相手から、継続や追加の依頼が増えた
  • 問い合わせが増え、選べる立場になった

既存の相手に値上げを伝えるときは、契約の区切りや、次の案件の見積もりのタイミングで、「次回からこの単価でお願いしたい」と、理由とセットで伝えます。理由は、実績と提供範囲の変化です。いきなり大幅に上げるのではなく、仕事の広がりに合わせて段階的に見直すほうが、関係を保ちながら単価を上げられます。

逆に、値上げの材料がないまま「そろそろ上げたい」だけでは、交渉は通りません。値上げの準備は、日々の実績の記録です。終わった仕事ごとに、「何を作り、相手の何がどう変わったか」を1行で残しておく。それだけで、次の単価交渉の材料がそろっていきます。

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単価は1つの数字で持たないのがコツです。仕事の種類ごとに幅を持つと、交渉が楽になります。

まとめ

フリーランスエンジニアの単価は、言い値でも、相場任せでもなく、根拠で決めるものです。まず必要額と稼働日数から最低ラインを逆算し、相手にとっての価値を重ね、単価を範囲で持つ。そして、仕事の入口を複数持ち、実績が増えたタイミングで見直す。単価の決め方は、そのまま自分の事業の設計です。技術を磨くことと同じくらい、単価の設計にも時間をかけてください。

出典

・フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
・創業計画書
・e-Stat

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