修正回数の決め方|無限修正を防ぐ取り決めのポイント
修正の依頼は、仕事の一部です。ただし、修正が終わらない状態に入ると、時間も気持ちもすり減ってしまいます。無限修正は、相手…
text: HYPE編集部
Webデザイナーの記事一覧へ修正の依頼は、仕事の一部です。ただし、修正が終わらない状態に入ると、時間も気持ちもすり減ってしまいます。無限修正は、相手が悪いのでも、自分が悪いのでもなく、「最初に決めていなかった」ことから起こることがほとんどです。この記事では、修正回数と範囲を、最初に取り決めるポイントを整理します。はてなブログでも、取り決めの考え方を紹介しています。
無限修正は、なぜ起きるのか
無限修正には、よくある原因があります。
・ゴール(どこで完成か)が決まっていない
・確認する人が複数いて、意見がそろわない
・「修正」の範囲が曖昧で、方向性の変更も修正として扱われる
・修正の回数ややり方が、事前に共有されていない
どれも、作りはじめる前に決めておけることです。決めていないと、相手に悪気がなくても、結果として終わりが見えなくなります。
最初に決める3つ
取り決めは、次の3つを決めておくと安心です。
1. 回数の目安(たとえば、2回まで)
2. 修正の範囲(軽微な修正と、大きな変更の区別)
3. 回数や範囲を超える場合の扱い(別途ご相談、または別途見積もり)
この3つは、見積書にも書いておくと、相手との認識がそろいます。見積書の書き方は、別の記事で整理しています。 見積もりや請求の管理をまとめて行いたい場合は、freee会計も参考になります。

最初に決める項目は、契約の土台と地続きです。厚生労働省のフリーランスガイドラインは、発注時に業務内容・報酬・支払期日などを明示することを求めており、修正の範囲や回数も、この明示の一部として先に書面化しておくのが基本になります。
「回数」より、「範囲」を決める
修正の回数だけを決めても、範囲が曖昧だと、トラブルは残ります。そこで、「修正」と「変更」を分けて考えます。
・修正:方向性は変えず、細部を整える(誤字、色味、素材の差し替え、言い回しなど)
・変更:方向性が変わる(構成を変える、別の案にするなど)
変更は、新しい提案として扱います。区別を共有しておくと、相手も「これは修正の範囲」「これは相談が必要」と自分で判断できるようになります。
伝え方の文例
取り決めの伝え方には、型があります。たとえば次のような一文です。
「ご提案した内容の範囲で、修正は2回まで対応いたします。内容の方向性が変わる場合は、別途ご相談させてください。」
コツは、断る言い方ではなく、「進め方の取り決め」として最初に伝えることです。終わりが見えることは、相手にとっても安心です。トラブルが起きてからではなく、起きる前に伝えます。
確認の流れも、先に決める
修正が長引く原因の多くは、確認する人が複数いて、意見がそろわないことです。次のことを、先に決めておきます。
・確認・決定をする人は誰か
・連絡の窓口を、1人にする
・フィードバックは、まとめて送ってもらう
・確認の期限の目安を決める
これは、ヒアリングで聞く「体制」の質問とつながっています。
揉めそうなときの動き方
取り決めをしていても、揉めそうになることはあります。そういうときは、次のように動きます。
・やり取りは、文面で残す(メールやチャット)
・追加分は、落ち着いて追加の見積もりとして示す
・関係を壊さない言い方を選ぶ
取り決めを書面に残すと、記憶違いを防げます。契約書や発注書の考え方も、あわせて確認してください。
話し合いで解けない場合は、当事者だけで抱え込まないことも動き方の一つです。消費生活相談の窓口については、国民生活センターが各地の相談窓口やトラブル事例を案内しており、契約トラブルの一般的な相談先として確認できます。
実例で見る、取り決めの流れ
架空の流れの例で、取り決めがどう働くかを見てみます。提案の段階で、見積書に「修正は2回まで」と書き、内容の方向性が変わる場合は別途ご相談、と添えておきます。依頼者もそれを確認したうえで発注します。
納品した初稿に対して、1回目の修正依頼が来ます。これは範囲内なので、そのまま対応します。2回目の修正も、色味の調整と文言の差し替えなら、範囲内です。そのあとで「やっぱり構成そのものを変えたい」という要望が出たとき、最初の取り決めが効きます。「構成の変更は、新しいご提案として、別途お見積もりをお出しします」と、落ち着いて伝えられるからです。
この流れでは、誰も悪者になりません。ルールが先にあるので、断る場面でも、関係を壊さずに済みます。
修正を受ける側の心がまえ
取り決めがあっても、修正の依頼を受けるのは、気持ちのいいことばかりではありません。ただ、修正は作品への否定ではなく、依頼者の目的に近づけるための調整です。
修正の連絡が来たら、まず目的に立ち戻ります。「この修正は、最初に聞いた目的に近づくためのものか」と考えると、受け止め方が変わります。感情的になりそうなときは、すぐに返信せず、時間を置いてから、文面を整えて返します。
長く続く依頼先には、ルールを更新する
継続して依頼を受ける相手とは、最初の取り決めを、そのままにしないことも大切です。月ごとの修正の回数、対応する範囲、確認の期限などを、定期的に見直します。
関係が長くなると、「いつものこと」として、取り決めが曖昧になりがちです。曖昧になる前に、「そろそろ、進め方を整理しましょうか」と声をかけておくと、お互いが気持ちよく続けられます。
ルールを更新するときは、一方的に変えるのではなく、これまでの実績を踏まえて相談する形にします。たとえば、「これまで修正は2回までで進めてきましたが、最近は内容が複雑になってきたので、確認の回数を増やして、一度の修正を小さくする進め方はいかがでしょうか」のように、相手のメリットも添えて提案します。変えた内容は、必ず文章に残します。メールの一文でも構いません。残しておけば、担当者が変わったときにも、引き継ぎやすくなります。長く続く関係では、お互いの慣れが、取り決めの曖昧さを生みます。半年に1回など、節目を決めて見直すと、気まずさも少なくなります。見直しの場は、不満を言い合う場ではなく、これからも気持ちよく進めるための確認の場です。そのつもりで、穏やかに切り出してください。相手から先にルールの見直しを提案されたときも、前向きに受け止め、お互いの負担を減らす方向で話し合ってみてください。更新したルールは、次の案件の見積もりにも反映しておくと、一貫性が保てます。取り決めは、相手を縛るためのものではなく、お互いが安心して仕事を進めるためのものです。この視点を共有できていれば、見直しの話も、前向きに進みやすくなります。
関連する話題は、令和の総合商社の「契約書の下書きを作る注意5項目と3つの線引き」でも取り上げています(契約書の下書きを作る注意5項目と3つの線引き)。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

ルールの更新は、一方的な条件変更にならないよう進めます。中小企業との取引条件の見直しについては、中小企業庁が下請取引の適正化に関するガイドライン等を公開しており、継続取引でも条件を文書で確認し合う姿勢が示されています。
まとめ
無限修正は、最初に決めていないことから起きます。回数の目安、修正の範囲、超える場合の扱いの3つを、作りはじめる前に伝えましょう。「回数」より「範囲」を決め、確認の流れも先にそろえます。終わりが見える仕事は、依頼する側にとっても、安心です。
出典
・厚生労働省のフリーランスガイドライン
・国民生活センター
・中小企業庁
合わせて読みたい
仕事の取り方や単価の決め方で迷ったら、HYPEへご相談ください。お問い合わせはこちら
関連サービス・資料
※本記事にはプロモーションを含みます。
つくる人の仕事のヒントを、週1で
新しい記事と、学び・案件のヒントをメールでお届けします。
RECOMMEND
注目のコンテンツ