提案書の基本構成|1枚で伝わる提案書の作り方
提案書と聞くと、何枚ものスライドを並べた資料を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、依頼する側が忙しいとき、実際に…
text: HYPE編集部
Webデザイナーの記事一覧へ提案書と聞くと、何枚ものスライドを並べた資料を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、依頼する側が忙しいとき、実際に読まれるのは、短くて要点がそろった提案です。「1枚で伝わる」提案書は手抜きではなく、相手が判断する負担を減らすための工夫です。この記事では、クリエイターが使える提案書の基本構成と、1枚にまとめるコツを整理します。はてなブログでも、型の角度から紹介しています。
提案書は、相手が「決める」のを助ける紙
提案書の役割は、自分の力を見せることではありません。相手が「頼むかどうか」を決めやすくすることです。依頼者は、予算の確認、社内の承認、他の候補との比較など、決めるまでに考えることをたくさん抱えています。
そこに長い資料が届くと、読む前に疲れてしまいます。要点が1枚にまとまっていれば、社内で共有するときも、そのまま回してもらえます。提案書は、目の前の担当者だけでなく、その先にいる「決める人」にも読まれる前提で作ります。
1枚は、5つのブロックで組む
1枚の提案書は、次の5つのブロックで足ります。
1. 相手の状況と目的(ヒアリングの要約)
2. 提案の内容(何を作るか)
3. 進め方とスケジュール
4. 費用と、含まれる範囲
5. 次の一歩(確認してほしいこと、連絡方法)
並べる順番の基本は、相手の話から始めて、自分の話に移ることです。冒頭が自己紹介だと、読む人は「自分の話はいつ出てくるのか」と感じてしまいます。ヒアリングで聞いた内容を整理する方法は、別の記事で紹介しています。

冒頭は、相手の言葉で始める
最初のブロックには、ヒアリングで聞いた目的を、相手の言葉に近い形で短く書きます。「〜という目的で、〜を実現したいというご相談だと理解しています」といった一文です。
この一文には、2つの効果があります。ひとつは、相手が「ちゃんと聞いてもらえた」と感じること。もうひとつは、認識のずれがあれば、提案の中身に進む前に直してもらえることです。ここがずれたまま進むと、あとの修正が増えます。
相手の言葉で始めるには、相手の公開情報を先に読む段取りも含まれます。取引先との関係づくりの前提として、厚生労働省のフリーランスガイドラインは発注内容の確認と条件の明示を求めており、提案の冒頭で「何に困っているか」を外さないための土台になります。
提案の中身には、理由をひとこと
何を作るかだけでなく、「なぜその形なのか」をひとこと添えます。たとえば「スマホで見る人が多いため、文字は少なめにします」のような一文です。理由があると、相手は判断の材料を手に入れられます。
迷うときは、内容の違う2〜3つの案を並べる方法もあります。案が複数あると、相手は「やるか、やらないか」ではなく「どれにするか」を考えるようになります。選ぶ話に変わるだけで、決まりやすさは変わります。
費用と範囲は、並べて見せる
費用は、金額だけを書いても伝わりません。含まれるもの(制作、修正の回数、納品の形式)と、含まれないもの(追加の撮影、素材の購入費など)を並べて書きます。範囲が見えていると、あとからの「これも含まれていると思っていた」を防げます。
金額の根拠は、見積もりの内訳で示します。内訳の書き方は、別の記事でまとめています。
費用を並べて見せるときは、請求の形式まで見通しておくと食い違いが減ります。国税庁のインボイス制度の案内では適格請求書の記載事項が示されており、提案の金額表示を、後の請求書の書き方とそろえておくことができます。
1枚に収める、削り方
1枚に収めるには、足す前に、削る基準を決めます。
・相手が決めるのに必要な情報か
・自己紹介と実績は、1〜2行と、詳しく見られる場所への案内にとどめる
・詳しい資料は、別紙として、必要なときに出す
・余白を残し、上から下へ読める順番にする
削ることは、情報を隠すことではありません。相手が決めるために必要なものを、残すことです。提案の考え方は、営業の側から整理した記事もあります。 提案や受注の場を広げたい場合は、ココナラも参考になります。
最後は、次の一歩で締める
提案書は、「ご検討ください」で終わらせません。確認してほしい点、返事をもらえるとうれしい時期の目安、連絡の方法を書いておきます。次にやることが分かると、相手は動きやすくなります。
提案を出したあとの、動き方
提案書は、送って終わりではありません。送ったあとの動き方で、結果が変わります。
・送ったことを伝え、確認してほしい点を、短く添える
・質問が来たら、できるだけ早く、簡潔に答える
・返事がなくても、責めず、期限の目安を過ぎたころに、一度だけ確認する
相手が忙しくて返事が遅れていることは、よくあります。追いかけすぎず、かといって放置もしない。この距離感が、信頼につながります。
提案書は、使い回しながら磨く
毎回ゼロから作ると、時間がかかります。5つのブロックの型を、テンプレートにしておくと、案件ごとに書き換えるのは、主に最初の2ブロック(相手の状況と目的、提案の内容)だけで済みます。
提案が通らなかったときは、理由を想像して、テンプレートの改善点をメモしておきます。1件ごとの小さな改善が、積み重なって、通る提案書に育っていきます。
テンプレートを磨くときは、固定する部分と、毎回変える部分を分けて考えます。固定してよいのは、自己紹介の一文、進め方の流れ、連絡先などです。毎回変えるのは、冒頭の相手の言葉、提案の理由、費用と範囲の数字です。この区別をつけておくと、使い回しをしながらも、相手に合わせた提案になります。コピーして使うときは、前の相手の名前や固有の言葉が残っていないか、送る前に必ず確認します。見落としやすいのは、ファイル名や、小さな注釈の部分です。送信前に、声に出して読み直すと、違和感に気づきやすくなります。うまくいった提案書は、保存しておきます。分野ごとに型を分けて、「動画向け」「デザイン向け」のように持っておくと、次の依頼にすぐ対応できます。提案書は、通ったかどうかだけでなく、返事の早さや質問の内容からも、学べることがあります。相手の質問は、提案書の分かりにくい部分を教えてくれる、貴重な手がかりです。型が育つほど、提案にかける時間は短くなり、その分を相手の理解に回せます。提案書の目的は、立派な資料を作ることではなく、相手が次の一歩を決めやすくすることです。そこに立ち返ると、足すべきものと削るべきものが、自然と見えてきます。迷ったら、相手の立場で一度読み直してみてください。
関連する話題は、令和の総合商社の「提案書をMuseで作る、契約前に見る3点と4手順」でも取り上げています(提案書をMuseで作る、契約前に見る3点と4手順)。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

使い回す提案書には、過去の顧客名や見積もり条件が残りがちです。資料の情報管理については、IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティの案内が基本的な対策をまとめており、使い回しの前に「他社の情報が混ざっていないか」を点検する観点が得られます。
まとめ
提案書は、相手が決めるのを助ける紙です。相手の状況、提案の内容、進め方、費用と範囲、次の一歩の5つのブロックを、相手の話から始めて並べましょう。理由をひとこと添え、費用は含まれる範囲と並べ、削る基準を決めれば、1枚に収まります。まずは、直近の提案を1枚に組み直してみてください。
出典
・厚生労働省のフリーランスガイドライン
・国税庁のインボイス制度の案内
・IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティの案内
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