表現の教養史|デザインから映像・SNS動画までの流れ
表現の教養史とは、文字・印刷・写真・映像・デジタル、そしてスマホとSNS動画へと続く、「伝える道具と表現の変化」を、大き…
text: HYPE編集部
オンラインスクールの記事一覧へ表現の教養史とは、文字・印刷・写真・映像・デジタル、そしてスマホとSNS動画へと続く、「伝える道具と表現の変化」を、大きな流れとしてつかむ視点です。いまの作り方は、過去の道具と考え方の上に成り立っています。この記事では、年代の暗記ではなく、「なぜこう変わったのか」を中心に、表現の流れをやさしくたどります。
表現の教養史を知る意味

歴史を知ることは、過去を暗記することではありません。なぜ今のデザインや動画はこういう型になっているのを、理由として理解することです。
理由がわかると、型を「真似る」のではなく、「使い分ける」ことができます。表現の基礎教養として、道具と表現の結びつきを知っておくと、新しい道具が出てきても、迷うことが減ります。
文字と印刷:同じ情報を、たくさんの人に届ける

表現の歴史の出発点のひとつは、文字と、それを複製する印刷の発展です。印刷によって、同じ内容を多くの人に届けられるようになり、「読みやすい文字の形」や「見やすいレイアウト」を考える必要が生まれました。
ここで生まれた「読みやすさのためのルール」は、今のデザインやテロップの考え方にも、形を変えて受け継がれています。縦書きと横書き、見出しと本文の分け方、余白のとり方などは、すべて読む人を助けるための工夫です。
印刷が広げる前の表現に触れる資料として、国立国会図書館の国立国会図書館デジタルコレクションでは、古典籍などのデジタル化資料を公開しています。
写真:リアルな記録が、表現になる
写真の登場は、「ありのままを記録する」ことを、誰でもできる形にしました。これによって、絵や文章だけで表現していた世界に、「切り取る」という表現が加わりました。
構図や光の考え方といった、今も基礎として使うルールは、この流れの中で磨かれてきたものです。スマホで撮影するときに、主役を決める、余白をとる、光を確認するといった基礎が効くのは、このつながりがあるからです。
表現の歴史は、雑誌の特集やバックナンバーからもたどれます。
→ 雑誌のオンライン書店 Fujisan.co.jp
映像:時間を使って伝える
映像は、写真に「時間」と「音」を加えた表現です。カットをつなげて、物語や説明を順番に伝えることができます。そのため、カット割りや間の取り方、台本といった考え方が、大切になりました。
映像には、「見る人の時間を使う」という特徴があるため、見る人が迷わない順番を設計することが重要です。これは、今の動画の冒頭の作り方や、テロップの出し方の考え方にもつながっています。
映像表現の歩みをたどる公的な拠点として、国立映画アーカイブは映画フィルムなどの収集・保存・公開を行っています。
デジタルとパソコン:表現を試すコストが下がる
パソコンやソフトの普及で、デザインや編集の作業は、専門の設備がなくても始められるようになりました。やり直しや、試してみることが簡単になり、表現の幅も増えました。
道具が身近になった分、「作れる」ことよりも「どう判断するか」の重要さが高まっています。色やフォント、余白の選び方といった基礎教養が、表現の質を左右する点は、今の制作でこそ実感しやすいでしょう。
スマホとSNS動画:見る場所が表現を変える
スマホで見ることが当たり前になり、表現は「小さな画面で、すぐに伝わる」方向へ変化しました。縦型の画面、短い尺、文字を大きく見せる表現などは、この変化に合わせた型です。
見る場所が変わると、最適な表現も変わります。だからこそ、流行の型だけを追うのではなく、「この型は、何のためにあるのか」を理解しておくことが、とても役立ちます。

見る場所の変化は、公的な統計からも読み取れます。総務省は毎年情報通信白書を公表し、メディアの利用動向などをまとめています。
流れから見えてくる、変わらないこと
ここまでの流れを見ると、道具や見る場所は変わっても、変わらないことがあります。それは、「相手が理解しやすい順番で伝える」「主役を決めて余計なものを減らす」「読みやすさと見やすさを大切にする」という基本の考え方です。
表現の基礎は、道具が変わっても古くならない。だから、基礎教養を一度しっかり整理しておくと、どんな新しい道具を前にしても、落ち着いて判断できるようになります。
学び直しの入口として:minueのこと
基礎教養を、体系的に学び直したいと感じた方は、オンラインデザインスクールminueのことも、よければ見てみてください。
記事で断片的に知ることと、順番を決めて学ぶことは、使い分けると効果的です。どちらが合うかは、あなたの状況で選んでください。
例で考えてみる(仮の場面です)
縦型の短い動画を作るとき、「最近はこういう型が流行っているらしい」という理由だけで型を選びがちです。
ここで、「スマホですぐに伝わるために、主役を大きく、文字を短くする」と理由を理解していると、型を自分の状況に合わせて調整できます。この例は仮の場面ですが、表現の流れを知ることの実用性を表しています。
よくあるつまずき
・年代や名前を暗記しようとして、理由を理解しない
・流行の型だけを真似し、自分の状況に合わせる視点がない
・道具やソフトの使い方ばかりを学び、基礎を後回しにする
どれも、「なぜそうなっているのか」を問い続けることで、防げます。
歴史を学ぶときの3つの問い
表現の歴史を学ぶとき、年代や名前を覚えようとすると、すぐに負担が大きくなります。そこでおすすめなのが、次の3つの問いを持って眺める方法です。
・その表現は、どんな道具や技術の変化から生まれたのか
・その表現は、誰に、何を伝えようとしたのか
・その表現の考え方は、いまの制作のどこに残っているのか
この3つを意識するだけで、歴史の知識が「いまの作り方を選ぶ理由」に変わっていきます。
身近な作品で確かめてみる
学んだことは、身近な作品に当てはめると、一気に理解が深まります。たとえば、普段見ているSNSの動画や、お店のポスター、本の表紙などを眺めて、「この見せ方は、どんな歴史の流れの上にあるのだろう?」と考えてみてください。
難しい資料を読むより、毎日目にしている作品を材料にするほうが、続けやすく、自分の判断にも活かしやすくなります。気づいたことを一言メモにしておくと、自分だけの基礎教養のノートになります。
一週間に一つ、気になった表現を選ぶだけでも、十分な練習になります。答えが一つに決まらなくても構いません。考えること自体が、判断力を育てます。
なお、ここで紹介した流れは、あくまで大きなつかみ方の一例です。細かい年代や人物については、気になったときに調べ直す程度で十分ですし、書籍や展示などで補っていくのも良い方法です。全体の流れを一度つかんでおけば、あとから知識を足したときにも、位置づけがしやすくなります。
はてなブログの「表現の教養史を30分でたどる」でも紹介しましたが、30分でたどる表現の流れを整理しています。また、アメブロの「HYPEの歩き方ガイド!4つの柱はこれ」では、HYPE全体の歩き方を紹介しています。ほかにも、令和の総合商社の「流れを知って基礎を選ぶ考え方」が参考になります。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます。
映像表現の元になった作品に触れるなら、マンガの名作をまとめて読むのも一つの方法です。
→ 漫画全巻ドットコム

まとめ
表現の教養史を知ることは、今の作り方の「理由」を知ることです。文字、写真、映像、デジタル、SNS動画と続く流れの中で、変わらない基礎を把握する。筆者としては、新しい型を見つけたときに、「なぜこの型なのか」を一言で言い換える習慣をおすすめします。
出典
・国立国会図書館デジタルコレクション
・国立映画アーカイブ
・情報通信白書
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・制作の基礎教養とは?単価が上がるクリエイターが知っていること
・作る仕事と表現する仕事の違い|クリエイターの役割を整理
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