字幕・テロップの配慮|誰にでも伝わる動画・文章の作り方
字幕・テロップの配慮とは、音が出せない状況の人や、見え方・聞こえ方に違いのある人にも、内容が伝わるように文字情報を整える…
text: HYPE編集部
動画クリエイターの記事一覧へ字幕・テロップの配慮とは、音が出せない状況の人や、見え方・聞こえ方に違いのある人にも、内容が伝わるように文字情報を整えることです。配慮は特別な対応ではなく、「伝わらない人をつくらない」ための基本の設計です。この記事では、字幕とテロップの配慮のポイントを、動画だけでなく文章への応用も含めて整理します。
字幕・テロップの配慮とは?
字幕は、話している内容を文字にして画面に出すもの、テロップは、補足や強調のために画面に文字を重ねるものです。どちらも、音声だけでは伝わりにくい情報を、文字で補う役割を持っています。
配慮とは、その文字が誰にとっても読みやすく、内容が正しく伝わるように整えることです。見た目を整える作業というより、情報を受け取れない人を減らす作業だと考えると、判断の基準がはっきりします。
字幕の配慮には国際的な基準もあります。W3CのWCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)では、映像コンテンツへの字幕提供などが要件として定められています。
音なしで見る人が、思っているより多い

動画は、必ずしも音を出して見られるとは限りません。電車や職場、夜間の自宅など、音を出せない場面で見る人もいます。また、聞こえにくい人や、耳で聞くより目で読むほうが理解しやすい人もいます。
音がなくても内容が伝わる動画は、より多くの人が、安心して最後まで見られる動画です。そのため、重要な情報は、音声だけに頼らず、字幕やテロップでも伝わるようにしておくことが基本になります。

読みやすさの基本:量・速度・区切り

字幕を読みやすくするには、まず文字の量を絞ることが大切です。一度に出す文字が多いと、読み切る前に次の場面に移ってしまいます。
文字は、意味の切れ目で区切って、読み切れる量を、読める速さで出すことが基本です。話している言葉をそのまま全部書き起こすのではなく、要点だけを残すと、すっきり読めます。また、文の途中で不自然に区切ると、意味が取りにくくなるため、言葉のまとまりを意識して改行しましょう。
テロップ入れや字幕付けを効率化したい方は、編集ソフトの機能も確認してみてください。
→ 動画編集ソフト VideoProc Converter AI
色と見え方への配慮
文字の色は、背景との差がはっきりしているほど読みやすくなります。明るい背景に薄い文字、暗い背景に濃い文字は、見えにくくなります。縁取りや下地をつけると、背景が変わっても読みやすさを保てます。
また、色だけで意味を区別しないことも大切な配慮です。たとえば、強調したい部分を赤色だけで表すと、色の見え分けが難しい人には伝わらないことがあります。太字や下線、位置の違いなどを、色と併用すると、誰にとっても区別しやすくなります。
色の使い方やコントラストの考え方は、ウェブの配慮と共通します。デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックでは、見え方への配慮が具体的に解説されています。
言葉の選び方への配慮
字幕やテロップの言葉は、見る人にとって誤解の少ない表現を選ぶことも、配慮のひとつです。専門用語や略語は、初めて見る人には通じないことがあるため、補足を添えたり、言い換えたりするとよいでしょう。
音声では自然に聞こえる言葉でも、文字にすると冷たく見えたり、強く見えたりすることがあります。そのため、字幕にするときは、言葉の印象も確認しておくと、不要な誤解を避けられます。特定の人を傷つけうる表現がないかも、公開前の確認項目に入れておきましょう。
配置と画面の安全領域
文字を置く位置にも、配慮が必要です。画面の端に近すぎる位置に置くと、見るアプリや端末によって、切れたり、ほかの表示と重なったりすることがあります。
文字は、画面の端から少し内側に、余白をとって配置するのが基本です。縦型・横型どちらで公開するかによっても、見えやすい位置が変わるため、公開先の表示を確認しておくと安心です。また、重要な映像と字幕が重ならないようにすることも大切です。
プラットフォーム側の字幕機能を使う場合は、公式の手順を確認しておくと配置の失敗を減らせます。YouTube ヘルプでは、動画への字幕の追加方法が案内されています。
文章への応用:「伝わらない人をつくらない」考え方
この考え方は、動画だけでなく、文章にもそのまま使えます。たとえば、画像の中に大切な情報を入れるときは、文章でも同じ内容を補足すると、画像を見られない人にも伝わります。
見出しを整える、文を短くする、専門用語に補足を添えるといった工夫も、読む人の状況に左右されにくい文章を作る配慮です。誰が、どんな状況で読むのかを想像しながら、情報の出し方を整えることが、配慮の出発点になります。
配慮チェックリスト
・音を消した状態で、内容が伝わるか
・文字の量は、読み切れる程度に絞られているか
・背景と文字の差は、はっきりしているか
・色だけで意味を区別していないか
・専門用語や略語に、補足があるか
・画面の端や重要な映像と、文字が重なっていないか
公開前に、このチェックを通して見直すだけで、伝わらない人を大きく減らせます。
例で考えてみる(仮の場面です)
商品の使い方を紹介する動画を作るとします。作り手は、音声で丁寧に説明しているため、字幕は最小限にしていました。しかし、音を出せない環境で見た人は、操作の手順が伝わらず、途中で離れてしまうかもしれません。
そこで、手順ごとに短い字幕を入れ、強調したい部分には、色だけでなく太字も使うように変えると、音なしでも手順が追えるようになります。この例は仮の場面ですが、音がなくても伝わる設計は、どんな動画にも役立ちます。
よくあるつまずき
・話した内容をそのまま全部文字にして、読み切れなくなる
・背景に溶け込む色の文字を使い、読みにくくなる
・色だけで強調し、見え分けにくい人に伝わらない
・画面の端に文字を置き、見る環境によって切れてしまう
どれも、見る人の環境や状況を想像する習慣を持つことで、防ぎやすくなります。
文章でも使える「伝わる配慮」
字幕やテロップの考え方は、文章にも応用できます。たとえば、見出しで内容を先に示す、専門用語に短い説明を添える、色だけに頼らず形や言葉でも区別する、といった工夫です。
どんな状況で、どんな人が読んでも伝わる形にしておくことは、相手への敬意にもなります。
作るときの最後に、「音がなくても」「画面が小さくても」「急いでいても」伝わるかを、自分に問いかけてみてください。一つずつ確認する習慣をつけると、配慮が自然に身についていきます。最初は一つの項目だけで構いません。
字幕やテロップは、一度作って終わりではなく、見る環境が変わるたびに見直すと、より多くの人に届きます。スマホの小さな画面や、明るい屋外など、いろいろな環境で一度確認してみてください。確認の習慣が、作品の安心感を高めます。気づいた点は、次の制作のためにメモしておくと役立ちます。
はてなブログの「字幕とテロップの配慮|誰にでも伝わる設計」でも紹介しましたが、字幕とテロップの配慮を、設計の面から整理しています。また、アメブロの「縦動画の画面づくり!9:16のコツ」では、縦型の画面での文字の置き方を紹介しています。ほかにも、令和の総合商社の「読みやすさを支える表示の考え方」が参考になります。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます。
サムネイルや文字素材の制作には、制作ソフトの活用も役立ちます。
→ イラスト・マンガ制作ソフト CLIP STUDIO PAINT

まとめ
字幕とテロップの配慮は、伝わらない人をつくらないための基本の設計です。量を絞り、背景との差と色以外の区別を整え、画面の安全な位置に置く。この3点を意識するだけで、動画も文章も、より多くの人に届きます。筆者としては、公開前に音を消して見直すことを、制作の最後の手順に組み込むことをおすすめします。
出典
・WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)
・ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック
・YouTube ヘルプ
合わせて読みたい
・テロップ設計の基礎|動画の文字を読ませるルール
・YouTubeサムネイルの作り方|クリックされる構図と情報量
・アイコンとピクトグラムの使い方|伝わる記号の選び方
・字幕の文字量の目安|読み切れる速さで入れる
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