テロップ設計の基礎|動画の文字を読ませるルール
動画の文字(テロップ)は、「入れれば分かりやすくなる」と思われがちです。しかし実際には、文字が多すぎて読めない、色が見づ…
text: HYPE編集部
動画クリエイターの記事一覧へ動画の文字(テロップ)は、「入れれば分かりやすくなる」と思われがちです。しかし実際には、文字が多すぎて読めない、色が見づらい、表示時間が短いといった理由で、かえって見づらくなることがよくあります。テロップは飾りではなく、「読ませるため」にあります。この記事では、テロップ設計の基礎として、役割・文字量・色と配置・フォントの考え方を整理します。はてなブログでは、文字量と出し方の基本を別の角度からまとめています。
テロップ、3つの役割
テロップには、大きく3つの役割があります。
- 強調:話の中のキーワードや数字を、目立たせて印象に残す
- 補足:聞き取りにくい言葉、固有名詞、専門用語を、文字で補う
- 要約:話の内容を短い見出しにして、流れを分かりやすくする
話している内容をすべて文字にすると、見る人は音声と文字の両方を追うことになり、負担が増えます。「何のために入れる文字か」を決めてから入れると、数も量も自然に絞られます。逆に、役割が決まっていない文字は、見る人にとってはノイズになります。
読める量に、収める
テロップの設計で最初に決めたいのは、1度に出す文字量です。1行の文字数は、13〜15字前後に収める考え方が広く使われています。同時に表示する行数は、2行までに収める考え方もあります。いずれも目安であり、動画の種類や画面の大きさによって調整します。
表示時間は、読み上げの速度より、少し長めに取ります。話し終わった瞬間に消えてしまうと、読み切れない人が出るからです。逆に長く出しすぎると、画面が止まった印象になります。音声に合わせて出し、読み切れる余裕を残すのが基本です。短い動画で、特に読みやすさが求められる場面では、この余裕が差になります。 動画の編集や変換をまとめて行いたい場合は、VideoProcも参考になります。
読める量の目安は、文章一般の読みやすさの知見ともつながります。デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックは、情報を伝える表示の基本をまとめており、短い文で区切る、というテロップの原則を裏づける材料になります。
色と背景と配置の条件
文字の読みやすさは、色と背景の組み合わせで決まります。文字色と背景のコントラストが小さいと、スマホの小さな画面では読めません。次の点を意識してみてください。
- 背景が複雑な映像には、縁取りや帯をつけて文字を浮かせる
- 色は、基本の1〜2色に絞り、強調だけに別の色を使う
- 画面の端に寄せすぎない(機器によって見切れることがあります)
- 人物の顔や、見せたい対象に文字をかぶせない
色数が多いと、どこが大事なのかが分からなくなります。「強調は黄色」のように、色の意味を決めておくと、見る人は無意識に重要な部分を拾えます。

色の条件には、国際的な基準も存在します。テキストと背景のコントラストについては、W3CのWCAG 2.2が基準を定めて公開しており、テロップの色と縁取りを決めるときの、感覚に頼らない物差しとして使えます。
フォントは、そろえる
フォントは、読みやすさと印象を決める要素です。太さが十分で、形がはっきりしたものを選ぶと、動画の中でも読みやすくなります。種類を増やしすぎると、動画全体の統一感が崩れるので、基本は1〜2種類に絞ります。
また、強調の方法(色を変える、大きくする、枠で囲む)も、ルールとして決めておくと便利です。毎回違う表現を使うと、見る人は混乱します。チャンネルやシリーズで共通のルールを持つことは、ブランドらしさにもつながります。動画全体の見やすさは、カット割りにも左右されます。
ありがちな、つまずき
テロップの失敗は、パターンが決まっています。
- 1度に出す文字が多すぎて、読み切れない
- 音声と文字のタイミングがずれている
- 装飾(影、縁、色、動き)を盛りすぎて、読みにくい
- 場面ごとにフォントや色が違い、統一感がない
- 字幕としての役割と、強調としての役割が混ざっている
多くの場合、作り手は動画を何度も見ているため、文字が読めてしまいます。初めて見る人がどう感じるかを、一度想像してみてください。誰にでも伝わる字幕の考え方は、別の記事で整理します。
仕上げの、確認項目
最後に、次の項目で見直します。
- スマホの小さな画面で、すべての文字が読めるか
- 音を消して見ても、要点が伝わるか
- 1度に出る文字は、役割に対して多すぎないか
- 色・フォント・強調のルールが、動画全体で揃っているか
- 顔や見せたいものを、文字が隠していないか
特に1つ目は、必ず実機で確認したいポイントです。パソコンの大きな画面で確認したときには気づかない問題が、スマホで見ると見つかることがよくあります。動画の見せ方は、集客の場面でも使えます。
動画の種類で、ルールは変わる
テロップのルールは、動画の種類によって、調整が必要です。
- 縦型のショート動画:文字は大きく、短く。画面の上下に出る表示を避けて置く
- 横長の解説動画:要約を見出しとして出し、話の流れを分かりやすくする
- インタビュー動画:補足に絞り、話し手の言葉を邪魔しない
同じルールを、すべての動画に当てはめると、見づらくなることがあります。動画の目的と、見る場面を考えて、調整してください。
動画の種類が変われば、公開先の仕様も変わります。字幕やキャプションの付け方については、YouTubeヘルプが公式の手順を案内しており、テロップを焼き込むか、字幕データで持つかの判断にも関わってきます。
作ったルールを、メモに残す
フォント、色、位置、強調の方法を決めたら、メモに残しておきます。テンプレートとして保存しておけば、次の動画では、同じ設定を呼び出すだけで済みます。
ルールがあると、作業が速くなるだけでなく、動画全体の統一感が出ます。編集を誰かに頼むときも、メモを渡せば、イメージを共有できます。
ルールのメモは、長く書く必要はありません。「フォントは2種類まで」「1行は15文字前後」「強調は黄色だけ」のように、数行で十分です。大切なのは、見返したときに、すぐ使える形になっていることです。動画の種類ごとにメモを分けておくと、さらに便利です。たとえば、解説動画用と、日常を記録する動画用では、ルールが違って当然です。ルールは、一度決めたら変えてはいけないものではありません。使ってみて窮屈に感じたら、見直して構いません。見直した日付も書き添えておくと、変更の経緯が分かります。チームで作業する場合は、メモを共有しておくと、誰が編集しても同じ雰囲気に仕上がります。画面サイズや見る人の年代によって、読みやすい量は変わります。迷ったときは、スマホの小さな画面で再生して確かめてみてください。最初は小さなルールから始め、少しずつ育てていくのが、続けるコツです。
HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

まとめ
テロップは、「読ませるため」の設計です。役割(強調・補足・要約)を決め、文字量と表示時間を読める範囲に収め、色・背景・フォントを揃えましょう。最後はスマホの画面と、音を消した状態で確認します。ルールを決めておくだけで、動画の見やすさは大きく変わります。
出典
・デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブック
・W3CのWCAG 2.2
・YouTubeヘルプ
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