「なんか違う」を言語化する方法|違和感の正体を探す練習
「なんか違う」をそのまま修正指示にすると、作り手にも依頼者にも終わりが見えません。 違和感は、完成物に問題があるという合…
text: HYPE編集部
コピーライターの記事一覧へ「なんか違う」をそのまま修正指示にすると、作り手にも依頼者にも終わりが見えません。
違和感は、完成物に問題があるという合図にはなりますが、原因の説明ではありません。色が強いのか、情報の順が違うのか、想定した相手に合わないのか。まず感じたことを分解し、観察できる要素と、望む状態を言葉にすると、修正の方向が定まります。
感想と観察を分ける

「古く見える」「弱い」「安っぽい」といった感想は、依頼者が何を感じたかを示しています。これを否定せず、まずその感覚を受け止めます。その後で、どの要素がそう感じさせたのかを一緒に探します。文字が小さい、余白が狭い、写真の色味が暗い、見出しと本文の差が少ないなど、画面上で観察できる事実に置き換えます。
観察の言葉にしたら、目標を確認します。「若い人向けにしたい」だけでは、誰のどの状況か分かりません。依頼者が想定している顧客像、伝えたい価値、避けたい印象を聞きます。ターゲットを一つに決めつけず、今回の制作で優先する相手と目的を確認します。
「何が違うか」を探す際は、参考例との比較が役立ちます。ただし参考画像をそのままコピーするのではなく、どの部分に魅力を感じたか聞きます。色、文字、構図、情報量、写真の雰囲気、余白など、複数の要素に分けます。参考の何を採用し、何を自分たちの制作に合わせて変えるかを合意します。
違和感を観察に変えるには、見る観点を先に持つことが効きます。デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は、表示の見やすさを確認するポイントを整理しており、「なんとなく見づらい」を具体的な観察に置き換える手がかりになります。
違和感を分解する質問
第一に「誰に、何を伝えたい制作物か」を再確認します。目的がずれていれば、細部を直しても納得感が戻りません。第二に「どこを見たときに違和感が出たか」を聞きます。第三に「どんな状態なら目的に近づくか」を尋ねます。第四に「今のデザインで残したいもの」を確認します。修正は追加だけでなく、残すものを決める作業でもあります。
質問は尋問のようにならないよう、選択肢や具体例を添えます。「見出しが目立ちすぎますか、それとも本文の読み始めが見つかりにくいですか」「柔らかい印象と、信頼感ではどちらを優先しますか」のように、判断の軸を提示します。依頼者がまだ言葉にできない場合は、仮説を一つずつ出し、合うかを確かめます。
一度に多くの要素を変更すると、何が改善につながったか分からなくなります。まず優先度の高い問題を一つ決め、対応案を示します。たとえば、文字の階層が課題なら見出しと本文の差を調整し、画像の印象が課題なら写真の選び方を見直します。修正前後を見比べ、目的に近づいたか評価します。
制作物の確認や修正を重ねる作業には、制作ソフトの環境も影響します。→ イラスト・マンガ制作ソフト CLIP STUDIO PAINT
色やコントラストに違和感がある場合は、基準に当てはめると分解しやすくなります。W3Cの「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2」では、色だけに頼らない伝え方などが定められており、質問を作る軸として使えます。
修正指示を記録する
口頭の「もう少し明るく」は、作り手によって解釈が異なります。色を明るくするのか、写真の露出を上げるのか、文章のトーンを軽くするのかを確認します。指示を受けたら、どの要素を、何の目的で、どの状態に変えるのかを記録して、依頼者と共有します。
修正依頼は、必ずしもデザインの失敗を意味しません。制作の途中で新しい情報が分かることもあります。初回の要件から変更された内容と、合意した仕様を直す内容を区別し、契約上の修正回数や追加費用に関わる場合は、範囲と納期を改めて確認します。
提案を返すときは、「違うという指摘は抽象的なので、具体的に言ってください」と突き返すのではなく、「目的をそろえるため、違和感が出た場所と、近づけたい印象を一緒に整理させてください」と伝えます。制作側が仮説を示し、依頼者が判断できる選択肢を作ります。相手の感覚を尊重しつつ、専門家としての説明責任を果たします。
レビューの進め方を含め、制作の相談先としてスキルマーケットもあります。→ スキルマーケット ココナラ
自分の違和感も言語化する

依頼者だけでなく、作り手自身が感じる違和感も分解できます。完成物を少し離れて見て、最初に目に入る場所、情報の流れ、視線の止まる箇所、余白の偏り、目的との一致を確認します。気になる箇所をそのまま直す前に、何が起きているかを言葉にします。
判断の根拠は、デザインの基本原則や案件の条件と結びつけます。「こちらが好きだから」だけでなく、「申込ボタンが他の情報と同じ強さで、次の行動が見つけにくい」など、目的と観察をつなげます。自分の提案が絶対だと押しつけず、選択肢とそれぞれの効果を説明します。
チームでレビューする場合は、感想を出す時間と解決策を決める時間を分けると、意見が散らかりにくくなります。まず観察された問題を集め、次に目的に照らして優先順位をつけ、最後に修正案を作ります。デザインの好みが違うだけの指摘は、対象顧客と目的に照らして採用するか判断します。
違和感を伝える練習には、身近な広告やウェブ画面を使えます。「見づらい」で止めず、どこに視線が行くか、必要な情報がどの順に並ぶか、次の行動が見つかるかを書きます。分析を公開する場合は、他者の作品を攻撃したり、根拠なく評価したりせず、画面の設計を一般化して説明します。
納品後の信頼につなげる
言語化の力は、修正を減らすためだけではありません。依頼者が判断しやすい説明を受けると、制作の理由や選択肢を理解し、社内で合意を取りやすくなります。制作の意図を説明できれば、単に手を動かす人ではなく、課題解決を支える相手として認識されやすくなります。
筆者は、修正指示を受けたら「観察した事実」「相手の目的」「近づけたい状態」の三つを書き出すことを勧めます。すべての意見が正解とは限りませんが、判断の材料として可視化できます。根拠を確認し、合意した目的に沿って修正することで、感覚のぶつかり合いから協働へ移れます。
納品後に揉める原因の一つに、素材や表現の権利関係があります。文化庁の「著作権」のページでは著作物の利用に関する基本が案内されており、覚えた違和感が権利の問題かどうかを切り分ける助けになります。
仕事と売上にどう効くか
違和感を具体的な修正要件に変えられると、やり直しや認識違いを減らし、提案・レビュー・見積もりの精度を上げられます。依頼者の抽象的な言葉を受け止め、判断できる情報に翻訳することは、クリエイターの専門性そのものです。
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出典
– デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」 (確認日:2026-11-06)- W3C「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2」 (確認日:2026-11-06)
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