ポートフォリオの見せ方|選ばれる並べ方と構成のコツ
ポートフォリオを作るとき、多くの人は「いちばん上手くできた作品から順に並べよう」と考えます。気持ちは自然ですが、見る側は…
text: HYPE編集部
Webデザイナーの記事一覧へポートフォリオを作るとき、多くの人は「いちばん上手くできた作品から順に並べよう」と考えます。気持ちは自然ですが、見る側は作品のうまさを審査したいわけではありません。「この人に頼んだら、自分の依頼がうまくいくか」を知りたいのです。見せる順番を変えるだけで、同じ作品でも受け取られ方は変わります。この記事では、選ばれる並べ方と、ポートフォリオ全体の構成のコツを、順を追って整理します。はてなブログでも別の角度から紹介しています。
見る人が探しているもの
ポートフォリオを見るのは、多くの場合、仕事を発注する側の人です。彼らが探しているのは、次の3つです。
- 自分の依頼に近い仕事をしたことがあるか
- 依頼したあとの進み方が想像できるか
- 相談しやすい人か
見る人は忙しく、1つひとつの作品を長く眺める余裕がないことがほとんどです。だから、短い時間でこの3つに答えられる見せ方が必要になります。作品の出来を伝えることと、依頼しやすさを伝えることは、似ているようで別のことです。

上手い順より、選ばれる順
並べ方の基準は、上手さではなく、見る人にとっての分かりやすさです。次の順で考えてみてください。
- 狙いたい仕事に近い作品を最初に置く
- 目的と成果が分かりやすい作品を続ける
- 幅を見せる作品は、そのあとに置く
最初の数点で、見る人は「この人は自分の分野の人か」を判断します。たとえば飲食店の動画の仕事を取りたいなら、いちばん上手い風景動画ではなく、飲食店や店舗の紹介動画を先頭に置きます。上手さの順に並べると、方向性がばらばらに見えてしまい、「何が得意な人か」が伝わりにくくなります。
作品は、絞るほど伝わる
「たくさん載せれば実力が伝わる」と思いがちですが、実際には逆です。数が多すぎると、見る人は選ぶのに疲れてしまい、印象に残る作品がぼやけます。まずは、狙いたい仕事に近い作品を中心に、数点から十数点ほどに絞ることをおすすめします。
載せなかった作品は、捨てるわけではありません。問い合わせがあった相手に合わせて、別のものを差し替えて見せることもできます。「全部を載せる場所」ではなく、「いまの自分を伝える場所」として、定期的に見直していきましょう。

1作品に、ひとこと添える
作品だけを並べても、見る人は背景が分かりません。1作品ごとに、短い説明を添えます。
- 誰のために(どんな相手・業種か)
- 何のために(目的は何だったか)
- 自分の担当範囲(企画・撮影・編集など、どこまで担当したか)
- 結果が分かれば、結果(数字がなければ、相手の反応でもかまいません)
この型を使うと、作品が「ただの成果物」から「仕事の事例」に変わります。事例の書き方は、実績紹介の記事で詳しく紹介しています。
成果を一言で添えるときは、効果を断定する表現になっていないかも確認します。消費者庁は景品表示法のページで、不当な表示に関する制度の考え方を案内しています。
全体は、この型で組む
ページ全体の構成は、次の順番がおすすめです。
- 自己紹介の1文と、対応できる仕事の一覧
- 代表作3点(作品+ひとこと説明)
- そのほかの作品(一覧)
- 依頼から納品までの流れ(進め方)
- 連絡先と、問い合わせのしかた
最初の画面だけで「誰で、何ができて、どう頼めばいいか」が分かることがポイントです。デザインの凝り方よりも、迷わず読み進められることのほうが、依頼につながりやすくなります。 クラウドソーシングで仕事を受けたい場合は、ココナラも参考になります。
掲載先に合わせて作品の並びを組むときは、利用するサービスの仕様も先に確かめます。AdobeはAdobe Portfolio FAQを公開しており、Adobe Portfolioを使う場合の疑問を確認できます。
実績が少なくても、分野が多くても
実績が少ない場合は、自主制作を「目的を決めて作る」ことで補えます。架空でもかまわないので、誰の、どんな課題に向けた作品かを決めて作り、説明を添えます。ただし、実際の依頼案件と混同されないよう、自主制作であることは明記しましょう。
分野が複数ある場合は、カテゴリを分けて見せます。動画と、イラストと、ライティングを同じ並びに混ぜると、「何屋さんか」が伝わりません。入口で「動画」「イラスト」などと分け、見たい人が自分の分野だけをたどれるようにします。

並べる前の、3つの下ごしらえ
ポートフォリオを作る前に、次の3つを準備しておくと、並べ方が決まりやすくなります。
- 狙いたい仕事を1つ、言葉にして書く(たとえば「飲食店の紹介動画」)
- 手元の作品を、すべて書き出して、分野ごとに分ける
- 狙いたい仕事に近い順に、仮の順番を並べてみる
仮の順番ができたら、知り合いに見てもらい、「この人は、何が得意そう?」と聞いてみます。答えが、狙いたい仕事と合っていれば、並べ方は成功です。
更新して、鮮度を保つ
ポートフォリオは、作って終わりではありません。新しい作品ができたら、狙いたい仕事に近いものを上に置き、古いものは下げます。
季節の変わり目や、新しい仕事を始めるタイミングは、見直しの良い機会です。作品の説明も、あわせて更新します。更新されていると、「いま動いている人」という安心感が生まれ、依頼の気持ちを後押しします。
更新のときに意識したいのが、「引き算」です。新しい作品を足すだけでなく、古くなった作品や、今の方向性と合わない作品は、思い切って外します。作品数が増え続けると、かえって見る人が迷ってしまうからです。外した作品は消す必要はありません。別のフォルダに保管しておき、依頼の内容によって差し替えて使えるようにしておきます。更新の頻度は、数か月に一度で十分です。「今の自分を、いちばん良く伝える並びになっているか」を、見る人の目になって確かめてみてください。更新したら、友人や知り合いなど、第三者に一度見てもらうのもおすすめです。自分では気づかない分かりにくさが、意外と見つかります。見てもらうときは、「どの作品が印象に残ったか」「何をしている人に見えたか」の2つを聞くと、答えてもらいやすくなります。返ってきた感想は、そのまま受け取って、並びや説明を見直す材料にします。ポートフォリオは、完成させるものではなく、育てていくものです。更新の記録として、作品を入れ替えた日と理由を短くメモしておくと、あとから方向性の変化を振り返れます。
関連する話題は、note(コミッターズ)の「小さな会社の見せ方は、大きく見せることではない」でも取り上げています(小さな会社の見せ方は、大きく見せることではない)。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

更新の際は、新しい作品を足すだけでなく、終了した取引先の担当者名や連絡先が残っていないかも見直します。個人情報保護委員会の個人情報保護法等のページは、情報を扱う前提を再確認する入口になります。
まとめ
ポートフォリオは、上手い順ではなく、選ばれる順に並べます。狙いたい仕事に近い作品を先頭に置き、数を絞り、1作品ごとに「誰のために・何のために・担当範囲」を添えましょう。最初の画面で「誰で、何ができて、どう頼めばいいか」が分かる構成にすれば、見る人は迷わず連絡できます。
出典
・景品表示法
・Adobe Portfolio FAQ
・個人情報保護法等
合わせて読みたい
- ポートフォリオは作品集ではない。仕事が来る「見せ方」の設計
- 小さな会社の見せ方は、大きく見せることではない
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- 実績ゼロからの見せ方|自主制作を資産に変える方法
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