クリエイターの営業の基本|仕事を取る流れと最初にやること
営業という言葉に、苦手意識を持つクリエイターは少なくありません。「売り込みは性に合わない」「作品が良ければ自然に依頼が来…
text: HYPE編集部
Webデザイナーの記事一覧へ営業という言葉に、苦手意識を持つクリエイターは少なくありません。「売り込みは性に合わない」「作品が良ければ自然に依頼が来るはず」。そう考えるのは自然なことです。ただ、依頼が来る人と来ない人の差は、作品の出来だけでは説明できません。差を生むのは、見つけてもらい、話を聞き、提案して、決めてもらうまでの流れを持っているかどうかです。この記事では、クリエイターの営業の基本を、流れと最初の一歩に絞ってまとめます。はてなブログでも別の角度から紹介しましたので、あわせてどうぞ。
営業は、売り込みじゃない
営業というと、強く売り込む姿を思い浮かべがちです。しかし、クリエイターの営業の中心は、売り込みではありません。相手が何に困っていて、何を実現したいのかを整理し、それに合う形で自分の力を提案することです。
たとえば動画編集の依頼なら、相手が欲しいのは動画そのものではなく、商品を知ってもらうこと、採用応募を増やすこと、社内に伝えることといった目的の達成です。目的が分かれば、提案の中身も、値段の説明も、ぐっと伝わりやすくなります。筆者は、営業とは「通訳」に近い仕事だと考えています。相手の目的を、制作の言葉に翻訳する仕事です。

仕事を取る、5つの段階
仕事が決まるまでの流れは、次の5段階に分けると整理しやすくなります。
- 知ってもらう(プロフィール、ポートフォリオ、SNS)
- 話を聞く(初回のヒアリング)
- 提案する(内容・進め方・見積もり)
- 決めてもらう(合意・契約・発注)
- 次につなげる(納品後のフォロー、継続の相談)
多くの人は、2〜4を「自分では動かせない運任せの部分」と感じています。実際は、どの段階にも、準備できる型があります。どこでつまずいているのかを見つけるだけでも、次にやることははっきりします。
相談が受注へ進む段階では、価格だけでなく、成果物・納期・連絡方法などの条件を言葉にして残します。厚生労働省はフリーランスの取引環境に関するガイドラインを公開しています。
つまずく場所で、打ち手は変わる
- 見てもらえない人は、1の段階です。プロフィールとポートフォリオを整えます。
- 見てもらえるのに連絡が来ない人は、1と2の間です。問い合わせへの導線と、最初の返信を見直します。
- 話は聞いてもらえるのに決まらない人は、3と4です。提案書と見積もりの出し方を整えます。
- 1回で終わってしまう人は、5です。納品後のひと言と、継続の提案を用意します。
全部を一度に直す必要はありません。いまいちばん詰まっている段階を1つ選び、そこだけを改善するほうが、確実に前に進みます。

まず、相手の言葉で1文にする
営業の準備でいちばん効果が出やすいのは、自己紹介の1文を作ることです。型は「誰の、何の悩みを、どうやって解決する人か」です。たとえば「店舗の紹介動画を、スマホ撮影と編集で、短い期間で形にする人」のように、相手が自分ごととして読める言葉にします。
肩書きだけの「動画クリエイターです」では、相手は頼む場面を想像できません。逆に、場面が浮かぶ1文があると、紹介もされやすくなります。この1文は、プロフィール、SNSの固定投稿、提案書の冒頭など、あらゆる場所で使い回せます。プロフィールの書き方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
相手の言葉を記録するときは、担当者名や連絡先など、個人を識別できる情報の扱いも意識します。個人情報保護委員会は個人情報保護法等に関する情報を公開しています。
初回連絡、3つの作法
問い合わせが来たとき、最初の返信は印象を大きく左右します。次の3つを意識してみてください。
- 質問への答えと、次の一歩(打ち合わせの日程候補など)をセットで書く
- 自分の自己アピールより先に、相手の依頼内容を言い換えて確認する(「〜というご相談でよろしいでしょうか」)
- 不明点は一度にまとめ、箇条書きで質問する
相手は、依頼先の候補を複数見ていることが多いものです。分かりやすく、負担の少ないやり取りができる人は、それだけで信頼されやすくなります。
メールで営業する場合は、本文の分かりやすさに加え、広告・宣伝メールに関するルールも確認します。消費者庁は特定電子メール法のページで、この制度の概要を案内しています。
断られる前提で、動く
営業では、断られたり、返事がなかったりすることが普通に起こります。理由は、作品の良し悪しとは限りません。予算、時期、すでに担当がいるなど、相手側の事情が大半です。断られた数を気にするより、相手に出会った数と、そこから学んだことを数えるほうが、続けやすくなります。 仕事の募集や応募を検討する場合は、クラウディアも参考になります。
また、1件ごとに「何が伝わらなかったか」を一言メモしておくと、次の提案が少しずつ良くなります。営業は才能ではなく、小さな改善の積み重ねです。作り手が練習で上達するのと同じように、営業も練習で上達します。

今週できる、3つの小さな行動
営業というと大がかりに聞こえますが、最初の一歩は、小さくて構いません。
- 自己紹介の1文を作り、プロフィールの1行目に置く
- ポートフォリオから、狙いたい仕事に近い作品を3点選ぶ
- 過去に仕事をした人や知り合いに、いま対応できる仕事を、ひとこと伝える
3つ目は、特に効果が出やすい行動です。仕事は、まったくの他人よりも、すでに自分を知っている人から頼まれることが多いからです。大げさな連絡は不要で、「最近こういう仕事を中心にやっています」と伝えるだけで十分です。
営業と制作は、両立できる
営業に時間を使うと、制作の時間が減る。そう感じる人は多いはずです。両立するコツは、営業の時間を、あらかじめ枠として決めておくことです。
週に1回、時間を決めて、プロフィールの見直しや、連絡、提案書の準備にあてます。枠の外では、制作に集中します。営業は、気合いではなく、習慣にすると続きます。
時間を決めるときのコツは、制作の予定と同じ扱いにすることです。カレンダーに先に入れておけば、忙しい週でも後回しになりにくくなります。やることも欲張らず、「提案書を1通整える」「連絡を1件送る」のように、小さく区切ります。終わったら、次の週に直したい点を1行だけメモしておくと、少しずつ営業のやり方が整っていきます。うまくいかない週があっても、気にしすぎないでください。続けることのほうが、1回の成果よりも大切です。うまくいかない週が続いたときは、やり方そのものを疑うより、枠の取り方を見直してみてください。時間帯を変えるだけで、驚くほど進むことがあります。
関連する話題は、note(コミッターズ)の「新規開拓営業の手法一覧|テレアポ・飛び込み・フォーム営業の使い分け」でも取り上げています(新規開拓営業の手法一覧|テレアポ・飛び込み・フォーム営業の使い分け)。HYPEの公式サイトでは、ほかのテーマの記事もまとめて読めます(HYPE公式サイト)。

まとめ
クリエイターの営業の基本は、売り込むことではなく、相手の困りごとを整理して、自分の力を提案することです。仕事が決まるまでを5段階に分け、いま詰まっている1か所だけを直しましょう。最初の一歩は、自分の「できること」を、相手の言葉で1文にすることです。
出典
・フリーランスの取引環境に関するガイドライン
・個人情報保護法等
・特定電子メール法
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